宮藤官九郎 吹石一恵さんの芝居に
心を動かされました

 

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宮藤官九郎

 

NHK「朝のテレビ小説」版「ゲゲゲの女房」の原作は、『ゲゲゲの鬼太郎』で知られる漫画家・水木しげるの妻・布枝による夫婦の回想録。

 この映画版で水木しげるを演じた宮藤官九郎は、映画を観た原作者夫婦から、若い頃の水木しげるにそっくりというお墨付きをもらった。

「最初は正直、俺には無理だと思いました。水木しげるファンから『え??』って言われるんじゃないかなって。監督の(鈴木)卓爾さんとは20代の頃から面識があったので、断るにしても一度話してからにしようと思って、『なんで俺なんすかねえ?』と聞きました」

 監督からの返答は、宮藤が醸し出す佇まいや雰囲気が、水木しげるにぴったりだからというものだった。

「演技力じゃなくて、空気感みたいなものが求められてるんだったらやれるかなって(笑)。パッと見だけの話で言えば、力の抜けた、脱力した方らしいので、なるべく自然体でいるようにしました」

 結婚当時、水木しげるのおどろおどろしいタッチや世界観は人気がなく、生活は非常に苦しかった。そんな貧乏暮らしでもしげるは飄々と、自分の描きたいものだけを描き続ける。最初はとまどっていた布枝だが、「こんなに頑張っている人が認められないのはおかしい」と、しげるの仕事を手伝うようになる。

「布枝さんが出版社に漫画を売りに行ったら値切られて、悔しくて泣き出すシーンがあるんですけど、あそこの吹石(一恵)さんの、怒りに震えた芝居に心を動かされかけました。しげるはまだねぎらったりしない段階なので淡々としたシーンなんですけど、すごく好きですね」

 吹石一恵が演じる布枝の内助の功は、男にとっての理想の妻の姿だと、評判を呼んでいる。

「『夫を支える良き妻』というよりは、『最初は困惑していたけれど、その状況に適応して逞しくなっていく人』という描き方ですよね。しげるさんが『妖怪なんかいないかもしれない』と言うと、『じゃあ全部捨てちゃえばいいじゃない!』って本棚の本を散らかすところとか、人間的ですごくいいなあと思います」

 

 

Profile 
くどう・かんくろう…1970年生まれ、宮城県出身。'91年より「大人計画」に参加。現在、脚本家、構成作家、映画監督、俳優、パンクコントバンド「グループ魂」のメンバーとして活動中。脚本家としてドラマ「タイガー&ドラゴン」などを手がけ、映画『真夜中の弥次さん喜多さん』『少年メリケンサック』では監督も務める。

 

ゲゲゲの女房 『ゲゲゲの女房』
愛媛県四国中央市は紙の生産高日本一を誇る町。しかし、不況の影響で商店街のシャッター面積は日に日に増えていく状況だった。高校3年生の里子は、書道部仲間・清美の両親が経営する文房具店の閉店が決まると、元気がない商店街を盛り上げるために書道パフォーマンスを敢行。残念ながら失敗するものの、紙の町のために、自分たちの手で“書道パフォーマンス甲子園”を立ち上げる。
'10年/日/119分/配給:ファントム・フィルム/ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー/監督:鈴木卓爾/原作:武良布枝


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