失敗のない写真を撮るなら純正レンズのオートフォーカスに限るのは承知のうえで、持っているだけでお洒落で格好イイって組み合わせでも持ち歩きたい。たとえ不自由でも、「カメラは見た目の良さがイチバン」なのです。……見た目重視にこだわりすぎると、カメラとしては使い勝手が非常に悪く撮影に苦労しますが、使いこなせれば最高に面白いカメラになる可能性も秘めている……かもしれません……。そんなミラレス偏愛なる集団「ミラレス倶」のお気に入りをご紹介。前半のジャッジメントは、「ミラレス倶」を冷静に見守る編集Kによるもの。果たしてどんな評価が下されるのか……

「ミラレス俱」第四のメンバーとして参画してくださるのは、
オールドレンズを介してのドレスアップなどで人気の高い写真家・ライターの澤村徹氏。
Web未発表のレンズを披露してくださいますぞ!

  profile……澤村 徹(さわむら てつ)
写真家・ライター
1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。オールドレンズ撮影、デジカメドレスアップ、デジタル赤外線撮影など、ひと癖あるカメラホビーを提案する。近著は翔泳社「オールドレンズレジェンド」、玄光社「オールドレンズ・ライフ」ほか。http://metalmickey.jp

この記事を読んで行なった行為によって生じた損害は編集部、執筆者およびメーカー、購入店もその責を負いません。また、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません。※ここで紹介している機材は、執筆者私物のため、現在取り扱われていない可能性があります。ご了承ください。

【Vol.06】 文・作例:澤村 徹
Kern Switar 13mmF0.9
【ケルン・スイーター】
ミニチュア感覚がたまらない

大口径Dマウントレンズの快楽

JUDGMENT
カッコ良さ ★★★★★ PENTAX Qの小さなボディにバランス良くレンズとボトムグリップが、ちょこんと着けられ愛らしさが倍増。白くフラットな印象のボディに、グリップとストラップの赤が、差し色となって映える。
実用性 ★★★★
SPEC DATA
レンズ=Kern Switar 13mmF0.9
ボディ=PENTAX Q
マウントアダプター=muk select PENTAX Q 用Dマウントアダプタ
ペンタックスQはオトナが本気になれるミニチュアカメラだ。コンパクトデジタルカメラよりも小さいのに、れっきとしたレンズ交換式。しかも操作フィーリングがよく練られており、男性の指でも誤操作がきわめて少ない。カメラを知り尽くしたペンタックスの製品だけあって、ミニチュアサイズでも本格仕様のカメラである。

そんなペンタックスQにぴったりのオールドレンズがある。それがDマウントレンズだ。Dマウントは8mmフィルムムービーカメラのユニバーサルマウントで、スイター、アンジェニュー、シネニッコールなど古今東西の銘レンズがそろっている。 注目すべきはその鏡胴サイズだ。Cマウントレンズ(16mmフィルムムービーカメラのレンズ)も相当小さいが、それよりもさらにひとまわり小さい。特にF1.9クラスの標準レンズ(焦点距離12.5mm前後のレンズ)に至っては、まさに親指サイズというコンパクトぶりだ。ミニマムボディのペンタックスQに装着すると、あつらえたかのような抜群のボディバランスである。

今回はDマウントレンズきっての大口径タイプ、スイター13mmF0.9を選んでみた。パイヤール社の8mmムービーカメラ「BOLEX」向けに1959年に製造されたレンズだ。数あるDマウントレンズの中でもひときわ明るく、ボケ量を稼ぎづらいペンタックスQでも、開放近辺では大きなボケ味が楽しめる。高性能レンズとして登場した製品だけあって、精巧かつ緻密なつくりで、ペンタックスQに付けた姿はさながらクラシックカメラのようだ。ただし、忘れないでほしい。このセットアップは正真正銘手のひらサイズだ。ディテールに行き渡った緻密さが、ガジェット好きの心を揺さぶることだろう。

ドレスアップ面はこのミニチュア感覚を重視して、ショート&スリムをテーマにしてみた。まずボトムグリップはルミエールのショートタイプ「ボトムグリップ・クルツ」をチョイス。一般的なボトムグリップの半分程度のサイズで、ペンタックスQにバランスよく装着できる。ここではストラップのラッピングコードに合わせて赤を選んでみたが、黒と青のカラーバリエーションも選択可能だ。 ストラップはGordy's camera strapsのNeck Strap Horizontal Lug-Mountを選んでみた。一見するとオーソドックスなスリムストラップだが、実は極厚レザーを裁断したワイルドな作りだ。見た目とは裏腹に耐重性にすぐれ、ウェイトのある中判カメラにも対応する。レザーとラッピングコードのカラー、ストラップの全長はカスタムオーダーが可能だ。
 
ルミエールのボトムグリップ・クルツは、エンド部にCマウント規格のねじ切りがある。Cマウントレンズやエクステンションチューブを付け、グリップの長さが延長可能だ。   スイターの被写界深度目盛はビジフォーカスと呼ばれ、深度が深くなるにつれてオレンジのドットが増えていく。muk selectのDマウントアダプターはオーバーインフ気味で使いやすい。
 
 
 
作例は葛西臨海公園でスナップしたカットである。11月とは思えぬ暖かな陽気で、午前中からさんさんと日が降り注ぐ。大口径レンズを開放近辺で使うには、少々酷な条件だ。幸い、ペンタックスQはオールドレンズ装着時に1/8000秒でシャッターが切れる。さすがに開放F0.9では露出オーバーになるケースが多かったが、F1.0〜F1.4あたりで撮影でき、開放近辺のリッチなボケ味が堪能できた。ただし、オールドレンズを装着したペンタックスQは、電子シャッターで撮影することになる。電子シャッターはイメージセンサーから1ラインずつ像を読み出すため、このタイムラグのせいで高速シャッターでも手ぶれが発生しやすい。高速シャッターだからといって油断せず、ていねいな撮影を心がけよう。

スイター13mmF0.9の描写を見ていくと、開放近辺はフレアやにじみが発生しやすいが、F2を境に描写が落ち着いてくる。Dマウントレンズはシャープネスが甘いレンズが多いものの、さすがはスイターだけあって中心部のシャープな描き方が見事だ。また、開放近辺ではぐるぐるボケが発生しやすい。この独特なボケ味をいかし、メインの被写体を絵画的に引き立てるとおもしろいだろう。
 
ミラレス倶とは……?
巷を席巻してやまないコンパクト一眼(ミラーレス一眼、マイクロ系)カメラ。純正のレンズを使うことがイチバンいいとは分かっていても、オールドレンズ、銘玉をはじめ古今東西ありとあらゆるレンズを装着し、使い倒したくってやまない集団がいる。そう、それがミラーレス倶楽部、通称「ミラレス倶」なのだ。夜な夜な集っては酒を酌み交わしつつ、レンズを取っ替え引っ替えしては“悦”に入る……、そんなメンバーには、庶民文化研究家、写真家として知られる三遊亭あほまろ氏、寫眞機と酒と自転車を偏愛する編集&ライターの山﨑真由子氏、そして、なぎら健壱氏……と増殖中! 三遊亭あほまろ氏のサイト:http://www.edo.net/
バックナンバー
mixiチェック

関連記事
2012年02月23日 「Corel AfterShot Pro」で写真データを賢く整理
2012年02月22日 一億人分のデータを駆使して未来を占ってくれるアプリ! by @motchan_228
2012年02月21日 『最先端デジタルの今』石野純也氏インタビュー(前半)
2012年02月21日 快適撮影を追求した注目コンパクトデジカメ
2012年02月17日 BestGear4月号特集 「最先端デジタルの今」 BestGear4月号特集 「最先端デジタルの
  • oceanus
  • edifice
  • ice-watch